FORTIS
模擬火星旅行実験MARS 500 終了 - クルーの帰還

クルー6名
写真後方
: アレクセイ・セルゲヴィッチ(露)
前方写真左より
:アレクサンダー・エゴロヴィッチ(露)
 ディエゴ・ウルビナ(伊)
 スクーロフ・ラスタモヴィッチ(露)
 ロメイン・シャルル(仏)
 王躍(中)

火星の仮想探査として隔離実験開始後520日がたち、ついに本格的火星探査シミュレーションが終了しました。
2011年11月4日、現地時間14時、およそ18ヶ月にわたり閉じられていた実験棟のハッチが開かれ、勇敢な6名のクルーたちは“宇宙船”から脱出し待ち構えた科学者たちに迎えられました。

MARS500は、ロシア医学生物学研究所(IBMP)が2010年6月3日から520日間をかけて実施した、火星への信頼性の高い最初の長期シミュレーションです。ロシア、フランス、イタリア、中国から集まった国際的な6名のクルーたちは、モスクワ近郊の研究所内に設置された実際の宇宙船と同じサイズの専用実験棟に隔離され、将来、間違いなく実現する実際の火星探査のため、大気圏突入、着陸、火星の表面探査、大気圏から成層圏、地球への帰還という有人火星探査とほぼ同じ環境が再現されました。

隔離された“宇宙船”の中で、クルーたちは、100以上もの実験を行ない、実際の火星探査計画の重要な助けとなる医学的かつ科学的なデータを収集しました。複数の人間が、とても狭い環境で精神的消耗やストレスなくともに暮らすことは非常に困難なことで、これほど長期にわたり健康を維持し、それぞれの能力を発揮するのは至難の業です。火星に向けたこの実験のように長期的なフライトは他に類を見ません。

この実験では、感覚の遮断や精神的健康を維持するための努力、情緒の安定、そのためのレジャー活動などが、精神的に重要なポイントとして模索され、うつ状態に対するエクササイズによる肉体的なサポートなども行なわれました。科学者たちは、クルー全員が、週に二回実施していたラジオセンサーによるモニターで、クルー間での接触回数や接触していた長さなどから彼らの行動を研究しました。そのほかにも、二回にわたる緊急事態のシミュレーションや、環境変化と体温の関係、クルーの血液と尿サンプルを使い人体に影響を与える塩分の研究、居住地区内での微生物の開発などが実施されました。
火星への長い旅が脳の構造に何らかの強い影響を与えたか否か見るために、11月末までに6名のクルー全員の脳の精査が行なわれました。

ロシア連邦宇宙局、欧州宇宙機関(ESA)およびドイツ航空宇宙飛行センター(DLR)との長いパートナーシップにより、このたった一度のまたとない実験に参加できたことを、フォルティスは誇りとしています。この結果は科学的に大いに活用できるに違いなく、フォルティスは個人レベルでも科学的意味でも成功したことに対しクルーを祝福しました。